バン・ミアンの美味しい読書

僕の人生を変えてくれている本を紹介します。

リスクについて、投資家から学ぶ。

みなさんは、「リスク」という言葉を聞くとどのようなことを思い浮かびますか?

挑戦的な人をみて「リスクをとっているなー。」と表現する場合もあると思います。

漠然とではあると思いますが、私たちに共通しているものは、「リスクは恐ろしく、危険であり、脅威である。」という感覚ではないでしょうか。

今回は、アメリカの投資家である、ハワード・マークス(Howard Marks)氏の著書「投資で一番大切な20の教え」*1に書かれている、リスクに関するアイデア、そしてその対処法を少しだけ紹介します。

こちらの本は具体的な投資方法が書いてあるのではなく、著者である、マークス氏が自身の経験や他の投資家から学んだ投資哲学を記した本になっており、投資をやっていない方にも有用なアイデアが詰まっている一冊になっています。

私自身、リスクに関する考え方が変わり、自分の生活や仕事にも活かしていきたいと思いました。

リスクを理解する

リスクに関しては色々と定義があると思います。ロンドン・ビジネス・スクール教授のエルロイ・ディムソン氏は「リスクとは、将来、実際に起きることよりも、起こりうることの方が多いという意味である。 *2」と述べています。

投資において、リスクを理解し、それを認識し、最後にそれをコントロールすること、が鉄則となっています。

リスクと付き合うためのプロセス。

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[リスクリターンの相関関係とそれらが環境によって変化する。*3]

リスクとリターンの正の相関関係は、リターンの不確実性と、リスク増大時の損失を考慮した図のような関係になります。つまり、「リスクを大きくとれば、多くのリターンが期待できる」と安直に考えることはできない

リスクの定義

冒頭に挙げたように、「危険」というイメージもあるが、金融理論ではボラティリティ(変動性、偏差)と厳密に定義しています。

この本における定義

しかし、「価格が乱高下するので買わない」や「向こう三ヶ月に値下がりしそうだから買わない」というケースが絶対ではありません。投資家が、目標価格や予想リターンを設定する際に、ボラティリティをリスクとして織り込んでいるとは考え難い*4として、著者はリスクを「資金を失う可能性」としています。

リスクに関して著者はこのようにまとめています。

  • リスクは未来にのみ存在するが過去のシナリオにおいても起こり得た可能性はある。
  • つまり、あり得ないことや最悪のシナリオが起こる可能性がある。*5
  • 人々の過信と自信
  • リスクは不定期に訪れる
  • リスクを取ることを「金儲けの手段」としている。しかし、市場はそのように動く訳ではない。

リスクを認識する。

リスクの認識は多くの場合、投資家が過度に楽観的でリスクをないがしろにしており、その結果として、ある資産を高すぎる価格で買っていると気づくところから始まる。*6

リスクを恐れよ

リスクを恐れ、自分の投資に対して、見返り(リスクプレミアム)を求めることは非常に重要になります。「投資においてはリスクプレミアムを求めることはできるけど、実際のビジネスでは無理だろ!」とかんがえるかもしれませんが「リスク分を考慮して期待リターンを割り引くこと」はできます。

全ての工程において、リスクを警戒することは大事ですね。

リスクの認識については、他にも詳しく書かれています。私が興味を持ったのは「リスクのあまのじゃく現象」についてです。

リスクのあまのじゃく現象

「リスクが高すぎる、どんな価格でも買わない」
<=>
誰もが高リスクと考える資産の価格は大抵危険でない水準まで落ちる。

「最高の好景気、リスクなんてない。上昇傾向じゃないか。」
<=>
誰もがリスクがないと信じる資産価格は極めて危険な水準まで上昇。

リスクをコントロールする。

リスクを避けることは非常に簡単であるが、その場合、無リスク資産を上回るリターンを避けることも意味します。いかにリスクをコントロールすべきか、が非常に重要なステップになるということです。

低リスクをとってほどほどのリターンを、ほどほどのリスクをとって高いリターンを

絶対的な利益率を安定して取れるのは非常に刺激的に見えますが、投資の達人と知られるウォーレン・バフェット氏、ピーター・リンチら氏らを見ていてもわかる通り、「巨額の損失」は出していません。彼らは一体どのような投資方法を行なっているのでしょうか。

重要なのは市場平均を下回るリスクを取りながら、平均を超えるリターンをあげることである。
  • リスクをきちんと分析し
  • ポートフォリオを適度に分散化する。
  • そして、リスクの見返りをはるかに上回るリターンが期待できると確信した場合に限って投資を行う。

損を出した投資の数とその損失の規模

起こりうる範囲を考える時、多くの人は考慮することのないケースを無視する。*7しかし、そのようなリスクも考慮しつつ、リスクを理解し、
然るべき時に、
然るべき資産について、
然るべき価格で、
リスクを取ることを喜んで受け入れる(また、そうなるようにリスクを考慮する。)ことが非常に重要になることに気がつきました。
本書の最後に詳しく書かれているのですが、損を出さないように投資する(ディフェンシブな投資*8 )事が非常に重要であると気づかされました。

最後に

皆さんはリスクをどのように考えていますか?
この本では、「リスクをどのように理解すべきか」だけではなく、どのような姿勢で投資をすべきなのか、どのようにパフォーマンスを評価すべきなのかが書かれています。
是非一度読んで見て、感想を聞かせてください。

*1:Howard Marks (2011). "The Most Important Thing: Uncommon Sense for the Thoughtful Investor" Columbia Business School Publishing. (貫井佳子訳(訳),2012年. 「投資で一番大切な20の教え」日本経済新聞出版社

*2:Elroy Dimson, London Business School: "Risk means more things can happen than will happen."

*3:同書, P69

*4:背景: 筆者がファンダメンタル分析に重きをおいている。

*5:ここら辺に関する考え方は、「ブラックスワン」を読もうかなと思っています。

*6:同書, P91

*7:こちらの内容も「ブラックスワン」と関係の深い内容です。

*8:同書, P296